水晶小屋から鷲羽岳、双六岳を経て新穂高温泉へ2010年09月08日 21時55分08秒

 9月1日(水)、入山3日目。小屋での朝食を済ませて、6時前には小屋を出た。今日も天気は上々のようだ。
 計画では、今日は鷲羽岳を経て三俣山荘から黒部五郎岳を登ることとしていたが、黒部五郎小舎から黒部五郎岳のピークを踏んで往復するのに4時間半かかるようだから、かなりの負担になる。今は、足にも特段の異常はないようだが、まああまり無理をすることもあるまい。余力のある山行を心がけようと思いなおし、その部分を割愛することを朝食をとりながら決断した。それに午後になると必ずと言っていいくらい曇天になっていることもあった。
水晶小屋からの下り

 水晶小屋からワリモ乗越まで下り、巻き道をとらずにワリモ岳(2888m)の登りにかかる。それほどの急な登りではなく、すぐにワリモ岳山頂との表示があるピーク部分に着くが、ワリモ岳の山頂は、そこから左に岩場をひと登りしたところにある。狭い山頂には、特段の表示はないが、これから登る鷲羽岳が眼前に聳えている。
鷲羽岳

 登山道に戻って、少し下り登り返したところが日本百名山のひとつ鷲羽岳(わしばだけ 2924m)の山頂だ。水晶小屋から1時間半で登頂。 好天の山頂は、展望抜群だ。素晴らしい眺めが広がっていた。右手のずっと奥には薬師岳、右手の前方には黒部五郎岳やその奥の笠が岳、
鷲羽岳山頂から黒部五郎岳

左手には槍ヶ岳から連なる大キレットから穂高岳連峰が、
鷲羽岳山頂

後ろを振り返れば裏銀座の峰々からずっとかなたには白馬岳が望める。勿論前方は、これから歩いていく三俣蓮華岳や双六岳に連なる山々が聳えている。しばし時間を忘れ展望に魅入られる。が、先を急ごう。
 鷲羽岳から三俣山荘への下りは、かなりの急な下りであるが、比較的歩きやすい下りなので、それほど疲れない。下りきったハイマツの広場の中に、綺麗な三俣山荘がある。山荘の前には、無料の水があり、ペットボトルを満たす。
三俣山荘と鷲羽岳

 山荘前のベンチで少しだけ休憩し、出発。すぐに右に黒部五郎小舎への道を分ける。ここでも黒部五郎への想いがちょっと迷わせたが、やはり決断した通り、三俣蓮華岳のほうへ進む。少し登ると、右に三俣蓮華岳への登り口が道を分けている。直進は山裾を巻いていく道で、三俣蓮華岳も、丸山も双六岳もピークを踏まずになだらかに双六小屋に行くことができるようだが、今回は黒部五郎をあきらめた分できるだけ多くのピークを踏んで帰ろうと稜線コースをとる。
 三俣蓮華への登りは、九重の星生崎を登るような感じがした。このころから雲がかかってきて、三俣蓮華岳の山頂(2841m)に達した時は、すでに周りの展望はほとんどなくなっていた。
 写真を撮ってすぐに双六岳を目指す。急な下りを下って、鞍部にから前方のピークに登っていく。これが双六岳への登りかなと思っていたが、そうではなく、このピークは丸山(2854m)の山頂で、双六岳はそこから下り、また登り返さなくてはならない。
 丸山の先端で、朝食とする。お湯を沸かし、持参していたフランスパンにポタージュスープ、ソーセージにミルクココアの簡単な食事であるが、吹きわたる風が心地よくとても美味しい、気分のいい昼食であった。
 下って、登り返した双六岳の山頂(2860m)は縦に長く、山頂からずっと先のほうまで高原状に延びている。
双六岳のながーい山頂部分

 その先端付近から左に急降下したところに、立派な双六小屋がある。小屋の横からは、急な登りが西鎌尾根から槍ヶ岳へと続いているし、笠が岳への稜線の分岐も近い要衝に建つ大きな小屋である。
双六小屋と西鎌尾根への登り

 小屋到着は、12時8分で、頑張れば十分今日のうちに新穂高温泉まで下ることができる時間であったが、もう一日山中の生活を楽しむこととし、ここに宿をとる。

9月2日(木)入山4日目。
 5時半からの朝食をとり、6時前に出発。いよいよ下山である。名残惜しい気分も大きいが、風呂にも入りたいし、本も持ってきていないし、小屋での午後からの時間がもったいない。この歳になるとここらへんが山小屋泊まりの限界かなとも思えてくる。
 小屋の左手をすり抜け裏手のキャンプ指定地を通り過ぎると、弓折岳への登りに入る。ひと登りしたところから、急に左手の展望が開ける。
槍穂の稜線
 
 西鎌尾根から槍ヶ岳、南岳から大キレットを経て穂高連峰への稜線が眼前に大きく広がっている。凄い眺めだ。またあの稜線を縦走したいと強く思う。
 さらに緩やかに登って進んでいくと、左前方に焼岳から乗鞍岳、さらにはその奥の御岳が雲海の上に浮かんでいる。なんと幻想的な眺めか。
雲海に浮かぶ乗鞍岳

 弓折岳山頂の手前で、左に鏡平への道が急降下する。
 7時半には、鏡平山荘に着く。山荘横の池は、なんだか油が浮いたようで、汚らしい感じもした。有名な槍穂が映る鏡池も薄汚い感じで、魅力が半減している。雪が消えたばかりの新緑の頃がいいのかもしれない。

槍穂と鏡池
  
 鏡平からの下りは、石のごろごろとした歩きにくい道が延々と下る。すれ違った登山者が、「今朝、ワサビ平でクマが出たそうですよ。」と驚かすので、クマよけ鈴をザックから取り出して、リンリンと鳴らしながら下る。
 秩父沢で一休みして、また下り続ければ、大きな流れに橋の架かる広い沢にでて、平坦な林道となる。林道をしばらく歩き続けると、左手のワサビ平小屋に着く(9時42分)。小屋の前のベンチで、前日と同じメニューの早い昼食をとる。
 林道をさらにのんびりと下ると1時間ほどで新穂高温泉のバスターミナルに着く(11:20)。
 計画では、まだ山の中だったので宿泊の予約はしていない。ターミナルにある観光案内所で斡旋してもらい民宿に宿をとる。久しぶりの風呂にゆったりとする。

 翌9月3日(金)は、完全休養に当て、平湯温泉でゆっくりし、4日(土)は、前回雨の中で登って、全く何も見えなかった乗鞍岳(3026.3m)に登る。
乗鞍岳山頂直下

 今日は、快晴の青空のもと、今回の山行三座目の日本百名山の山頂からの展望を堪能した。
 
 下山後は、平湯バスターミナルの温泉で汗を流し、松本郊外の民宿に宿をとる。
 
 5日(日)、昨年見逃した美ヶ原の八島湿原をゆっくり散策した後、九州への帰路につく。贅沢な山行であった。


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