霧越邸殺人事件2018年11月25日 22時03分49秒

霧越邸殺人事件
霧越邸殺人事件(綾辻行人 著)新潮文庫

 この、連休は、本来ならどこかの山に遠出したい気分だったが、週明けからの出張もあり、自重して自宅でミステリーを読んでいました。

 平成7年2月1日発行とあるから、これも23年も前に出された本だ。
本箱に積読していたのを今夜読み終えた。

 作者の綾辻さんは、新本格派の旗手として「十角館の殺人」で華々しくデビューされた。まだ、京都大学の現役の学生さんだったと思います。その頃の僕は、海外のミステリーばかり読んでいたのだが、評判を聴いて、その「十角館の殺人」を読んでみた。

 へーこんなすごい本格物を書ける作家が日本にも現れたんだと感心し、しかもまだ学生さんだと二重に感心した覚えがある。それ以来、彼の作品が出るたびに読んだのだが、そのうちにいかにも創りましたよという設定に嫌気がしたり、彼が僕の嫌いなホラー物を書き始めたことから以来読むのをやめていた。

 それでも、第12回吉川英治文学賞新人賞を受賞したこの「霧越邸殺人事件」は、よくできているという評判だったので、買っていたものだった。ようやく読むことができたというわけだ。

 唐十郎の「状況劇場」を思い起こさせるような劇団員一行が、突然の吹雪のため山奥の豪邸一軒家「霧越邸」に閉じ込められる。そしてそこで起こる連続殺人事件は、本格推理小説の典型ですね。

 でも、トリックのために館を造ったというようなわざとらしさも一応抑えられているし、ストーリー、物語の展開も実際そんなこともあるかなという、現実からの遊離も少ない。自然と読めるミステリーです。文庫で700ページ近くある大作ですが、なかなか面白く、すらすらと読むことができました。新本格派の旗手の作品らしくよくできた本格物です。

 この作品は、1990年のミステリーで、週刊文春の「ミステリーベスト10」の第1位、宝島社の「このミステリーがすごい!」のだい7位にランクされています。また、週刊文春臨時増刊号「東西ミステリーベスト100」では、国内物の82位にランクされています。
 同じ作者の「十角館の殺人」が8位、「時計館の殺人」が20位にランクされているが、僕としてはこの「霧越邸殺人事件」が一番完成度が高いような気がしています。もっともそれらはずいぶん昔に読んだのだから、今読むと感じが違うかもしれないけれど。

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