半七捕物帳2020年01月03日 23時05分06秒

半七捕物帳
半七捕物帳(岡本綺堂 著)(一)~(六)光文社時代小説文庫
 謹賀新年。
 もう今年の正月休みもあとわずかです。体調もあまりよくないのですが、なんとか楽しんで生きていきたいです。
 山と音楽は後回しにして、まずはミステリーからです。ミステリーも最新のものは後回しにして、昨年7月から隙間時間に少しづつ読んでいた半七捕物帳から。きょうやっと全6巻を読み終えました。ひと月に1冊のペースですね。
 半七捕物帳は、長谷川一夫さんや里見浩太朗さんや平幹二郎さんらの主演で映画化やテレビドラマ化もされていて、僕らは小説よりもむしろそちらのほうを覚えています。
 この文庫は、時代小説文庫に入っているのですが、神田三河町に住む目明しを主人公とした、れっきとした探偵小説で、作者の岡本綺堂もシャーロックホームズものに刺激を受けて書いたというようなことを書き残しています。
 6冊の文庫は、中・短編集で半七が駆け出しのころから引退する直前の江戸末期の26年間の事件が集められています。怪奇な事件や血生臭い事件を半七がどのように解決していくか、半七が引退後に語って聞かせるスタイルでまとめられています。
 探偵小説と書きましたが、今のミステリーに比べると謎も単純でご都合主義で、期待して読むと少々がっかりするかもしれません。江戸時代の犯罪捜査録ですね。
 文章は平易ですが、なにせ江戸弁に加えて、今ではめったに使わないような言葉などもあり、辞書や百科事典を調べながら読まないとわからないところもある。それに年代が行ったり来たりするので(文庫編集の都合かな)、歴史年表や東京の地図を手元に置き参照しながら読みました。
 当時は、捜査も徒歩が基本ですが、昔の人は健脚で江戸中を歩き回ったり、横浜や調布などに徒歩で出かけます。地名が出てくるが地理が不案内なので地図が必要なのです。
 くどくどした叙述は少ないのですが、江戸の町や住民の姿が明瞭に描かれているようで、なかなか面白いのです。それに江戸末期の罪と罰の様子がわかってこれも興味深い。まあ、時間のある人は一読をお勧めします。
 気になったのが、事件が解決して、犯人たちが遠島になったり打ち首になったりするのですが、収監中に牢死するケースが案外多いこと。当時の牢屋は、環境も悪かっただろうから病死かなとも思ったのですが、念のため調べてみた。
 そしたら、これは伝馬町の牢のことですが、当時の牢屋は牢名主を頂点とした自治が認められており、その中で起きたことにはお咎めが無いという慣習があったという。まあ、極端に言えば収監されている罪人が多すぎて牢内が暮らしにくくなったら、適当に間引き(殺され)されていたようです。
 そんなときにまず殺されるのは、協調性が悪く周りに迷惑をかけている者、牢名主等に上納する金品が少ない者などでこれはそれなりにわかるのですが、驚いたのがね。
 いびきがうるさい者もだそうです。怖いですね。僕なんかは歯ぎしり、寝言、いびきがすごいらしいから、真っ先に殺される。

初登りは宝満山2020年01月04日 23時41分23秒

 
宝満山山頂からの展望

 今年の初登りは宝満山にした。初登りは、久住山と宝満山とがほぼ隔年にしているようだ。そして宝満山の場合、太宰府近辺の車の混雑を避けて、昭和の森からというのを続けている。今日もそうでした。
 寝坊したので、時間節約のため(山中が暗くなる午後4時前には下山してしまいたい。)昭和の森の駐車場よりもずっと上のほうに車を停めて歩き始める。
 途中、難所ヶ滝に立ち寄り状況を確認する。暖冬で、まだただの壁だった。

(今日の難所ヶ滝)
今日の難所ヶ滝

(厳寒期の難所ヶ滝 2003年1月5日)
厳寒期の難所ヶ滝

 滝からトラバースして河原谷に戻り、谷を急登して登りつめると三郡縦走路に出る。いつものように右に登れば、仏頂山をへて宝満山の絶壁(稚児落とし)の下に出る。鎖場、急な石段を登れば、宝満山の山頂だ。天気は良かったのだが、少しもやがかかり見晴らしはあまりよくない。人出もそれほどではなかった。

宝満山山頂からの展望

 バナナを1本食べて、下山。いったん往路を戻り、仏頂山の手前からウサギ道に入る。しばらく下ると、右に昭和の森への道が分かれておりそちらのほうへ下る。
 谷を渡り、往路の道と合流すれば、ほどなく駐車場所に戻る。
 年末年始の食べ過ぎで、体重がかなり増加しているのが堪えた。
(12:10)登山開始、 (13:14)難所ヶ滝分岐、 (13:18)難所ヶ滝、
(13:39)三郡縦走路、 (14:03-15)宝満山山頂、 (14:27)仏頂山、ウサギ道分岐、
(14:50)竈神社、昭和の森分岐、 (15:26)駐車場所に戻る。

殺人の指示2020年01月06日 23時58分12秒

 恐ろしい時代になった。
 イランの司令官を殺すことをトランプ大統領が指示したという。漫画や小説の世界では、日常茶飯事のこととして描かれているが、それでも表向きには極秘の事項だ。それが、おおっぴらに指示したことが報道される。大統領本人も否定していない。
 いくら自国に害をなすと思われる人物であっても、殺すことが正当化される時代が来るとは、思ってもみなかった。もちろん戦争中には多数の人が殺されるが、殺すか殺されるかの中では、殺人が正当化されるのだが、それすら疑問視している僕には、今回の報道が恐ろしくてならない。
 ここまで生きてきて、後世に対しこんな時代にしてしまった責任を痛感しているのだが、小心で臆病な僕でも何かできることはないのだろうか。
 ずっと以前に、ある先輩がおっしゃった言葉を思い出す。

「どうしても実現できないかもしれないけど、理念として肯定できるものがあるのなら、それを目指すのが人間なのではないか。」と。

 実現できる方法を模索したい。

マーラー交響曲第6番「悲劇的」2020年01月13日 16時39分29秒

マーラー 交響曲第6番イ短調「悲劇的」

 昨年からこの曲を何度も何度もよく聴きました。
 今年の聴き初めもこの曲です。

 しかし、一言で感想を言うと、なによりも長い!ということ。僕の持っている クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1991年ライブ) のCDで約91分の演奏です。CD2枚組で、2枚目の第4楽章だけでも33分強もあって、ステレオの前にじっと聴いているのには、1時間半はちょっと長すぎますね。

 副題に「悲劇的」とついています。例によってこの副題も作者自身がつけたのかどうか。アルマと結婚してまだそれほど経たない幸福であろうときに、何故「悲劇的」作品を作曲したのだろうか。
 テーマを明から暗へと繰り返すことが悲劇性を現しているとか、英雄の悲劇的な生涯を表現しているとかという解説もありますが、僕にはよくわかりません。あえて受ける感じをいえば、悲劇的というよりは、勇敢な戦士の闘いの一生みたいに聴こえます。

 全体的に時にはうるさ過ぎるくらいの曲ですが、第2楽章(スケルォ)、第3楽章(アンダンテ・モデラートはとても美しいです。
 そして第4楽章の咆えること咆えること。戦いの連続。これでもかこれでもかと太鼓、銅鑼が撃たれ金管楽器が鳴り響きます。運命の打楽器大きなハンマーの一撃が何度も振り下ろされて驚きます。このハンマーも最初は5発だったようですが、のちに作者自身によって3発に改められたといいます。(指揮者によっては2発のひとも)

 永い闘いのあと、勇者は静かに息をひきとるのですが、そこにもハイドンのびっくりシンフォニーのような仕掛けがあって驚くので、要注意です。

 僕の持っているCDは、テンシュテットのと、エッシェンバッハ指揮フィラデルフィア管弦楽団の2組ですが、あとネットから、
 カラヤン指揮ベルリンフィル(75年)、
 バースタイン指揮ウィーンフィル(88年)、
 アバド指揮ベルリンフィル(2004年ライブ)
もダウンロードして聴きました。

 テンシュテットのは迫力はあるけれど、少し咆え過ぎかなと思う。好きなのは、カラヤン・ベルリンフィルの演奏で、響きが美しくよりロマンチックに聴こえます。

 それにしても、交響曲全般に関してい言えるのですが、この第6交響曲はついては、特にいいスピーカーで大音量で聴くほうがいいでしょう。でないと、カウベルもチェレスタもよく聞こえないと思います。
 一度この曲をコンサート会場で聴きたいものです。

新宿鮫Ⅺ 暗約領域2020年01月16日 20時45分25秒

新宿鮫Ⅺ
新宿鮫Ⅺ 暗約領域 (大沢在昌 著)光文社

 年末に買って楽しみにとっといたんだけど、とうとう読んでしまったですよ。やあーオモシロかった。
 このシリーズの1作目からの重要な登場人物だった恋人と別れ、たった一人の理解者であった上司も死んで、失意の主人公がどう警察官を務めていくのか。かなりショッキングな終わり方の前作(10作目)から、もうこのシリーズは終わってしまうのかなとも思っていた。
 ところが、おととしの中頃、続編が雑誌で連載されているとの情報で、単行本になるのを楽しみにしていた。なんと8年ぶりですよ。原尞さんの探偵沢崎シリーズほどではない(沢崎も一昨年14年ぶりに復活登場)にしても、このシリーズも新作の間隔が長い。魅力的な警察ものだけに、もっと書いて欲しいと思います。
 今回も、前作を引きずりながら、新しい上司への対応、外国人を巻き込んだ犯罪に果敢に取り組んでいく孤独な主人公は健在である。
 前作で別れた恋人や新しい上司との関係がどうなるのか、まだまだ未解決のまま残された謎はあるけれど、古い敵対関係から少し新しい関係への萌芽も見えるなど、またまた次作が待ち遠しくなった。
 大沢さん次を早く出してください!

隠蔽捜査82020年01月22日 23時06分34秒

隠蔽捜査8
隠蔽捜査8清明(今野敏 著)新潮社
 
 本屋に立ち寄ったら、隠蔽捜査シリーズの最新作が出ていた。僕の好きな警察物の一つだ。単行本だが仕方ない。躊躇なく買った。珍しいことに、買ったその日にあらかた読んでしまった。

 それほどこのシリーズは読みやすいし、面白いのだ。スリルやサスペンスは、新宿鮫シリーズに比するべきもなく、ほとんどないといっていい。主人公のキャラクターが大好きなのだ。

 主人公は、警察小説には珍しく警視長という高位の階級にある(僕の知っている高階級の主人公は、「翔んでる警視正」くらいだ。)。
 大森警察署長から神奈川県警刑事部長に異動になった主人公竜崎の赴任から物語は始まる。着任早々外国人や公安が絡むややこしい事件になるが、筋は単純明快。面白いのは、主人公と上司や同僚、部下や周辺の登場人物との絡みが面白いのだ。

 シリーズの初期からはだんだんと変化する主人公と周囲の反応が、このシリーズの最大の魅力といっていいだろう。
 さて、警察官の階級では、警視長になった人は、特に非違がなければたいていは全員警視監になるというが、主人公が神奈川県警でどうふるまい、いずれなる警視監としてどういう役職に就いていくのか、それも楽しみに、次の作品を待つとしよう。

籤運2020年01月26日 23時39分04秒

 この休みは天候不良で外出しなかった。歴史の勉強と宇宙論の読書に時間を費やしたが、ふと思いついてお年玉付き年賀はがきの当たりを調べた。
 結果、3等賞が1枚だけ。まあ、現役時代に比べもらう年賀状も激減しているのだから仕方ないが、ほぼ同じ枚数もらってる家人の当たりはなんと3等賞が5枚だった。
 一事が万事こんなふうで、僕が籤運がないことを思い知った。