神は銃弾 ― 2011年06月01日 22時34分36秒

神は銃弾(ボストン・テラン著 田口俊樹訳)文春文庫
昨年のベストミステリー(外国物)の一つに「音もなく少女は」というのがあって、読もうかなと手にとったところ、この作者のデビュー作を買っていたのをまだ読んでいないことに気がついた。
それが、この「神は銃弾」です。2001年のミステリーで、「このミステリーがすごい!」の1位、週刊文春「ミステリーベスト10」では、7位にランクされている。
お話は、宗教家を語るアウトローの集団に子どもをさらわれた父親が、その集団の元メンバーで元麻薬中毒の女と一緒に立ち向かうというものだ。
文芸ミステリーともノワールミステリー(暗黒小説)とも言われているように、単にミステリーとしてのすじの面白さより、情景や心理描写に力をいれているということで、当時の評価は高かったようである。
が、僕はあまり好きになれない。終盤になるまで、もたもたとして進みが遅いし、読みにくい文章だから、何度も中断して他の本を読んだりしていた。
文章が、やたら装飾が多くて読みにくい。またあきれるほどのアウトローで、なんだか漫画「北斗の拳」の世界を読んでいるような情景が続くので、うんざりする。アメリカでは、このようなところがまだあるのだろうか、このような恐ろしい所が。
そのくせ、メインの心理や宗教に関しては、薄っぺらいような感じしかしない。読後の印象は深いけれど、苦手な小説でした。
この分で行くと、「音もなく少女は」のほうも、読みにくいのかなあ。
昨年のベストミステリー(外国物)の一つに「音もなく少女は」というのがあって、読もうかなと手にとったところ、この作者のデビュー作を買っていたのをまだ読んでいないことに気がついた。
それが、この「神は銃弾」です。2001年のミステリーで、「このミステリーがすごい!」の1位、週刊文春「ミステリーベスト10」では、7位にランクされている。
お話は、宗教家を語るアウトローの集団に子どもをさらわれた父親が、その集団の元メンバーで元麻薬中毒の女と一緒に立ち向かうというものだ。
文芸ミステリーともノワールミステリー(暗黒小説)とも言われているように、単にミステリーとしてのすじの面白さより、情景や心理描写に力をいれているということで、当時の評価は高かったようである。
が、僕はあまり好きになれない。終盤になるまで、もたもたとして進みが遅いし、読みにくい文章だから、何度も中断して他の本を読んだりしていた。
文章が、やたら装飾が多くて読みにくい。またあきれるほどのアウトローで、なんだか漫画「北斗の拳」の世界を読んでいるような情景が続くので、うんざりする。アメリカでは、このようなところがまだあるのだろうか、このような恐ろしい所が。
そのくせ、メインの心理や宗教に関しては、薄っぺらいような感じしかしない。読後の印象は深いけれど、苦手な小説でした。
この分で行くと、「音もなく少女は」のほうも、読みにくいのかなあ。
奇妙な果実 ― 2011年06月09日 23時28分08秒

僕の聴くジャズの大半はヴォーカルです。それもほとんどが女性ヴォーカル。ウィスキーを片手にのんびりと歌を聴けるのは、ほんとうに幸せなことだと思います。
ジャズの女性ヴォーカルといえば、僕はやはりビリー・ホリデイが真っ先に頭に浮かびますね。それから御三家といわれるエラ、サラ、カメでしょうか。カメのかわりにビリーをいれて御三家と言うこともあるみたいですが、僕はまあビリーは別格かなあと思っています。
近頃、何故かビリーと御三家のCDばかり聴いていました。
そのビリー・ホリデイのCDでは、昨年の11月に書いたことがあるように、「レディ・イン・サティン」が一番好きなのですが、代表作「奇妙な果実」もなかなかいいですね。
10歳くらいのときに、近所の男から強姦されて、麻薬、売春、ギャングの情婦と壮絶な人生を過ごした彼女ですが、このCDでは、まだ声に張りがありますね。独特のビリー節ともいえる歌い方で歌う「奇妙な果実」は、すごく訴えるものがありますね。それにスタンダードをいくつも歌っているのですが、それぞれ魅力的な歌唱です。大好きな「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」も、独特の歌い方で、最初聞いたときは、おや!これはあの歌なの?と思ったくらいですが、それなりの説得力がある。
このビリーの二枚のCDを続けて聴くと、その違いの大きさに、なんだか彼女の人生を垣間見たような厳しい気持にもなります。
やはり凄い歌手ですね。
次回は、エラのCDについて書くつもりです。
ジャズの女性ヴォーカルといえば、僕はやはりビリー・ホリデイが真っ先に頭に浮かびますね。それから御三家といわれるエラ、サラ、カメでしょうか。カメのかわりにビリーをいれて御三家と言うこともあるみたいですが、僕はまあビリーは別格かなあと思っています。
近頃、何故かビリーと御三家のCDばかり聴いていました。
そのビリー・ホリデイのCDでは、昨年の11月に書いたことがあるように、「レディ・イン・サティン」が一番好きなのですが、代表作「奇妙な果実」もなかなかいいですね。
10歳くらいのときに、近所の男から強姦されて、麻薬、売春、ギャングの情婦と壮絶な人生を過ごした彼女ですが、このCDでは、まだ声に張りがありますね。独特のビリー節ともいえる歌い方で歌う「奇妙な果実」は、すごく訴えるものがありますね。それにスタンダードをいくつも歌っているのですが、それぞれ魅力的な歌唱です。大好きな「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」も、独特の歌い方で、最初聞いたときは、おや!これはあの歌なの?と思ったくらいですが、それなりの説得力がある。
このビリーの二枚のCDを続けて聴くと、その違いの大きさに、なんだか彼女の人生を垣間見たような厳しい気持にもなります。
やはり凄い歌手ですね。
次回は、エラのCDについて書くつもりです。
プリンセス・トヨトミ ― 2011年06月11日 21時09分26秒

プリンセス・トヨトミ(万城目 学著)文春文庫
なんとなく気になったので、読んでみた。ついでに映画も観てきました。
小説は、大阪の中に大阪国政府があり、豊臣秀吉の子孫を守っているという奇想天外なお話です。まあ面白かったですよ。
ありえない話で、傷も多い展開なんですが、男のロマンらしいものを感じるし、読後感は悪くはなかったです。
映画のほうは、あちこちのロケで苦労したのでしょうが、府庁をはじめ、大阪のいろんなところが協力しているようです。
原作とは、いろいろ変えてあって、登場人物も男女が反対になったりして工夫されていますが、ここは原作のほうがいいようです。主人公はじめミスキャストばかりだなと思いますが、準主人公の真田大輔君役だけは、感じが出ていてよかったです。
それに小説のほうは、それなりに納得できたのに、映画の結末の付け方が、ちょっと解りにくかったのでは。僕は、よく理解できませんでした。
なんとなく気になったので、読んでみた。ついでに映画も観てきました。
小説は、大阪の中に大阪国政府があり、豊臣秀吉の子孫を守っているという奇想天外なお話です。まあ面白かったですよ。
ありえない話で、傷も多い展開なんですが、男のロマンらしいものを感じるし、読後感は悪くはなかったです。
映画のほうは、あちこちのロケで苦労したのでしょうが、府庁をはじめ、大阪のいろんなところが協力しているようです。
原作とは、いろいろ変えてあって、登場人物も男女が反対になったりして工夫されていますが、ここは原作のほうがいいようです。主人公はじめミスキャストばかりだなと思いますが、準主人公の真田大輔君役だけは、感じが出ていてよかったです。
それに小説のほうは、それなりに納得できたのに、映画の結末の付け方が、ちょっと解りにくかったのでは。僕は、よく理解できませんでした。
エラ・フィッツジェラルド ― 2011年06月12日 17時18分12秒
土日ともに大雨で、九重のミヤマキリシマには行けずじまいでした。来週の土日は、朝日会の例会だから、今年はミヤマキリシマは観れないかななんて悲観しています。
さて、女性ジャズヴォーカルについて、今日は、4人の中で僕が一番好きなエラ・フィッツジェラルドについて。
僕は、この人が、ジャズヴォーカリストのなかで一番歌が上手いのではないかと思っています。彼女のスウィングする歌は、とても気持ちがいい。バラードもうっとりします。何よりも、歌を心から楽しんで歌っている感じが伝わります。歌を聴いているとその歌を愛しむ心に打たれて感動します。僕の一番好きな歌手ですね。
初めて彼女の歌を聴いたのは、多分「エラ・イン・ベルリン」というアルバムでだと思います。最初のほうは曲の合間に「サンキュー」としか言わないのですが、その歌の盛り上がりかたに圧倒されました。

僕が近頃聴いているのは、彼女のベスト盤「ピュア・エラ」というCDです。彼女のよさが凝縮されたCDですね。どの曲も素晴らしいです。「ミスティ」、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」、「サマータイム」、「オーバー・ザ・レインボー」など、本当にほれぼれとします。超お勧めの一枚です。

もう一つ、僕の好きな曲で、「マイ・ファースト・ジャズ」というCDの中で歌っている「バードランドの子守唄」です。これはサラ・ボーンの有名な歌唱よりも、僕はエラのよさがすべて出ているこちらのほうが好きです。

サラ・ボーン ― 2011年06月13日 23時41分35秒
僕がまだあまりジャズを聴いていなかった若いころ、当時ジャズ喫茶をやっていた義弟に「ジャズのいい歌はどんなのがあるの?」と聞いて、かけてくれたレコードがサラ・ボーンのアルバム「アフターアワーズ」だった。

ギターとベースだけの伴奏だが、とても素晴らしいサラの歌声だ。
最初の曲「マイ・フェイバリット・シングズ」の出だしのギターの音色とメロディがとても印象的で、続いて歌いだすサラの歌がとても魅力的だった。すっかり好きになって、カセットにダビングしてもらった。仕事中心だった頃のことだが、このカセットは疲れて帰っても寝る前に飲みながらよく聴いたものだ。だから、今でもこのCDを聴くと、とても大変だったその時代のことを思い出す。
「サラ・ボーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン」というアルバムもいい。

サラ・ボーンは、今回の4人のヴォーカリストの中では、高音から低音まで最も美しく安定した声で、しかもムーディに歌える人だと思いますが、これは、その魅力が詰まっているアルバムです。例の「バードランドの子守唄」がトップに入っている。今、聴きながらこの文を書いているけど、やはり名演ですね。
それに、共演のクリフォードのトランペットが素晴らしい。時にはサラをしのいでいるような演奏も入っている。
もう一つ、「クレージー・アンド・ミックスド・アップ」というアルバムに入っている「枯葉」が、すごい。あのシャンソンの「枯葉」が、こんな風に歌われるのは、驚きです。最初から最後までアドリブのスキャットだけです。この曲を聴いた時、「枯葉」とは思いませんでした。今でも、メロディラインがよくわかりません。でも、すごく楽しい。

サラは、エラと同じように、僕の大好きなジャズ歌手です。
カーメン・マクレエ ― 2011年06月14日 21時16分01秒
さて、御三家の最後は、カーメン・マクレエだ。
実を言うと、僕はこの人は苦手なのです。歌は上手いし、丁寧に情感たっぷりに歌っているのは、すごくいいのです。一つだけ曲を聴いたときは、どの曲を聴いても素晴らしいシンガーだなと思うのですが、やはり苦手ですね。
実を言うと、僕はこの人は苦手なのです。歌は上手いし、丁寧に情感たっぷりに歌っているのは、すごくいいのです。一つだけ曲を聴いたときは、どの曲を聴いても素晴らしいシンガーだなと思うのですが、やはり苦手ですね。

歌の好きな人なら絶対に好きになると紹介されて買った、彼女の名盤と言われる「ブック・オブ・バラーズ」を聴くと、最初の2曲ぐらいは、ふむーと聴いているのですが、途中からなんだかどうでもよくなってくる。なんだか物の解った年上の女性から、諄々と、しかも同じことを何回も諭されているような気になってくる。
そうなると、もういい加減にしか聴いていませんね。そして、最後の曲で、手ひどく非難されているような気分になる。

もう一つの名盤、日本で録音されたというピアノの弾き語り盤「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」は、これもなかなかいいのですが、最初の標題曲が終わると、何だか同じ感じの繰り返しという感じがする。これも一つ一つの曲は、素晴らしいと思うのですが、アルバム全体としては何だかつまらないという感想になる。
どうも、僕は彼女の声に、あまり魅力を感じていないみたいです。僕に女性を感じさせない声のようです。これはあくまで個人的な感じ方ですので、全く逆に感じる人もいるかもしれない。
でも、一つだけ、僕が好きな曲があります。「ブルー・ムーン」というアルバムの中にある「マイ・フーリッシュ・ハート」これは、なかなか色気があっていいと思います。

で、これを聴いたら、例のビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」というCDを聴きたくなる。最初の曲がこの「マイ・フーリッシュ・ハート」だからです。
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