真夏の方程式2011年08月03日 00時19分28秒

真夏の方程式
真夏の方程式(東野圭吾著)文芸春秋
 東野さんの刑事加賀恭一郎シリーズの最新作は、先の「麒麟の翼」だったけど、こちらは、彼のもう一つの人気シリーズ探偵ガリレオの最新作だ。
 「麒麟の翼」もそうだったけど、こちらの「真夏の方程式」も残念ながらシリーズ最高作にはならないだろう。
 ガリレオは、天才物理学者湯川学のこと。不可解な犯罪を、彼の天才が見事解き明かしていくという科学ミステリーで、その謎解きとガリレオのかなり特異なキャラクターが魅力的なミステリーだ。
 「真夏の方程式」も、そのスタイルはなんとか維持している。海洋開発のアドヴァイザーとして美しい海の町を訪れたガリレオが、殺人事件に遭遇する。それに、今回は可愛い少年も登場する。いろいろと工夫された物語の展開はあるが、なんだか長編にするために無理をして展開しているような気がする。しかも、シリーズの売り物の、謎の物理的な解明も今一つのようだ。
 無理をして長編にしたために、あのガリレオの特異なキャラクターさえも、加賀恭一郎に似てきたりして、おや?なんかしっくりこないなあとか思う。
 ガリレオシリーズは、最高の長編「容疑者Xの献身」を頂点として、あとは短編にして最高に魅力を発揮できるシリーズではなかろうか。
 この最新作も、決して面白くないわけではないのだが、敢えて不満を述べておく。