カラマーゾフの妹 ― 2015年10月24日 00時26分53秒
カラマーゾフの妹(高野史緒 著)講談社
今頃になったけれど2012年の話題作です。新刊発行されて単行本買っていて、読むのをためらっていたら、もう文庫になっている。
なんたってあの歴史上の大物作家ドストエフスキー作品のオマージュですから。
原作の「カラマーゾフの兄弟」は、学生時代、45年以上も前に読んだっきりで、もう細かいことは全て忘れている。もう一度原作を読んでから、このミステリーを読んだほうがいいかな、なんて思っているうちに3年もほっといたことになる。こんなことなら単行本買うんじゃあなかったなあ。
そのドストエフスキーの長編小説「カラマーゾフの兄弟」は、純文学の世界でも一つの頂点として輝いている(僕はそう思っている)が、もともとはミステリー仕立ての大衆小説だったとか。といっても「大審問官の章」など哲学的な難解な部分があり、学生に読破欲を起こさせる純文学作品だった。僕も学生時代に悪戦苦闘して読み終えた記憶がある。
原作は、殺人事件が一応解決し(?)、第二部への展開を匂わせて終わっている。
結局、第二部は書かれることがなく、ドストエフスキーは亡くなったが、確かに続編を期待したくなる終わり方だった。僕は、アリョーシャが気になって仕方なかったと覚えている。
その続編(第二部)が、21世紀の日本で、このミステリー小説「カラマーゾフの妹」という形で発表されたのだ。「世界の十大小説(モーム)」という金字塔の「続編」だ。話題にならないはずがない。
もちろん、「続編」というのは小説創作上の装飾的なもので、著者の完全な創作ミステリー小説です。
とはいっても原作の設定は、そのまま受けている。その原作のもやもやとしたところを二人の探偵役が解明していくという構成だ。これがなかなかよくできている。原作をよほど丁寧に読み込まなくてはこうはいくまい。
ミステリー小説としてなら、「続編」と言ってもいいのではないか。むしろ原作よりきちんと構成されているのではないか。もやもや感がなく、好むと好まざるとに拘らず、すっきりとした解決の仕方だと思う。
2012年の江戸川乱歩賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベスト10」と「ミステリが読みたい!」で3位、「このミステリーがすごい!」では7位にランクされている。
原作「カラマーゾフの兄弟」を読まれた方は、是非とも読んでみてください。
今頃になったけれど2012年の話題作です。新刊発行されて単行本買っていて、読むのをためらっていたら、もう文庫になっている。
なんたってあの歴史上の大物作家ドストエフスキー作品のオマージュですから。
原作の「カラマーゾフの兄弟」は、学生時代、45年以上も前に読んだっきりで、もう細かいことは全て忘れている。もう一度原作を読んでから、このミステリーを読んだほうがいいかな、なんて思っているうちに3年もほっといたことになる。こんなことなら単行本買うんじゃあなかったなあ。
そのドストエフスキーの長編小説「カラマーゾフの兄弟」は、純文学の世界でも一つの頂点として輝いている(僕はそう思っている)が、もともとはミステリー仕立ての大衆小説だったとか。といっても「大審問官の章」など哲学的な難解な部分があり、学生に読破欲を起こさせる純文学作品だった。僕も学生時代に悪戦苦闘して読み終えた記憶がある。
原作は、殺人事件が一応解決し(?)、第二部への展開を匂わせて終わっている。
結局、第二部は書かれることがなく、ドストエフスキーは亡くなったが、確かに続編を期待したくなる終わり方だった。僕は、アリョーシャが気になって仕方なかったと覚えている。
その続編(第二部)が、21世紀の日本で、このミステリー小説「カラマーゾフの妹」という形で発表されたのだ。「世界の十大小説(モーム)」という金字塔の「続編」だ。話題にならないはずがない。
もちろん、「続編」というのは小説創作上の装飾的なもので、著者の完全な創作ミステリー小説です。
とはいっても原作の設定は、そのまま受けている。その原作のもやもやとしたところを二人の探偵役が解明していくという構成だ。これがなかなかよくできている。原作をよほど丁寧に読み込まなくてはこうはいくまい。
ミステリー小説としてなら、「続編」と言ってもいいのではないか。むしろ原作よりきちんと構成されているのではないか。もやもや感がなく、好むと好まざるとに拘らず、すっきりとした解決の仕方だと思う。
2012年の江戸川乱歩賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベスト10」と「ミステリが読みたい!」で3位、「このミステリーがすごい!」では7位にランクされている。
原作「カラマーゾフの兄弟」を読まれた方は、是非とも読んでみてください。
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