薔薇の名前 読んでから観るか、観てから読むか?2015年09月26日 23時53分56秒

薔薇の名前(映画)
 原作は、ウンベルト・エーコによるミステリーの大作で、傑作との評価の高い作品だ。
 1990年の英国推理作家協会選出の「史上最高の推理小説100冊」の13位、
 1995年のアメリカ探偵作家クラブの「史上最高のミステリー小説100冊」では23位にランクされている。ちなみに我が国の「東西ミステリーベスト100(文芸春秋編 2013年)」では海外編7位にランクされている。
 いくつかのミステリー関係で最高傑作とされていた記憶もあって(たとえば、「このミステリーがすごい(宝島社)」の別冊では、1988年から2008年までのミステリー海外編では第1位。)、これは読まないとミステリーファンとは言えないなあと思っていた。大著なので、文庫化されるのを待っていたのだが、いっこうに文庫化されない。たぶん、その作品の風格というか内容が、文庫化を拒んでいるのだろう。
 僕は普通、ミステリーは先に原作を読んで、それから映画化されたものを観ることにしている。
 この映画も原作を読んでから観ようと我慢していたのだが、そんなとき先日WOWWOWで放映されたのでとりあえず録画していた。
 ずいぶん迷ったが、とうとう映画を先に観ることになった。
 ショーン・コネリー主演の例の映画で、中世の北イタリアのキリスト教修道院を舞台にした話題になった映画だ。
 想像していたよりも、映画はとてもわかりやすく、すっきりとしていた。むしろ簡単になりすぎているかのように感じた。もちろん原作を読んでいないので、本当のところはわからないが、謎も簡単だし、犯人の想像もすぐつく。
 もし、これが原作に忠実な映画なら、原作はもう読まなくてもいいかなと思ってしまった。原作を読んでいないのでこれもまた完全な推量なのだが、原作の評価が高いのは、小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」のようにペダントリーな部分に読者が魅惑(幻惑?)されたからかもしれない。