不夜城シリーズ2018年10月06日 23時27分33秒

不夜城シリーズ
 いつの間にか10月です。いい季節なのに台風がたてつづきでやってきくるし、体調もいっこうによくならない。
 積読していた本を読むしかないのです。そこで、

不夜城シリーズ(馳星周著)角川書店
 1 不夜城
 2 鎮魂歌(不夜城Ⅱ)
 3 長恨歌(不夜城完結編)

 これも古い小説です。三部作ですが、三冊目(完結編)を読んでいなかったので、今回読むにあたって1作目から読み直しました。

 1作目を読んだのが平成9年の2月(平成8年8月出版)だからもう20年以上前になる。今回読み始めて驚いたことに、そのほとんどを覚えていないことだ。登場人物の何人かは記憶にあったが、どのような人物でどのようにストーリーが展開していくのか、結末以外は全くと言っていいほど覚えていなかった。
 未読の小説を読んでいるようで、楽しかったですね。2作目もそうでした。

 舞台は新宿歌舞伎町で、裏社会を支配する中国人たちの勢力争いを描いたものです。20年前、最初に読んだ時は、日本のノワール小説作家にもすごい人が現れたと感嘆した記憶があります。とにかくエロ、グロ、暴力、殺人なんでもありの世界が、ニヒルではないけれどある種諦念しているようにクールに描かれている。
 凄惨な暴力シーンでの性的興奮など全く理解できない部分も多々ありますが、とにかく面白い。
 
 歌舞伎町は、僕が学生時代にはよく徘徊した場所なので、小説に出てくる地名も知っていて土地勘があるし、懐かしさもあってぐいぐいと読めました。そのころはそんなまでもなかったと思うけれど、外国人が裏社会が支配する街というのは、うなずけるところでもある。
 一作目はとにかく新鮮というか強烈で面白いです。二作目からは主人公を脇役的に描いており、それがどうかなという感じもある。特に三作目は、こんな終わり方をしなくてもよかったのにとちょっと読後感がよくない。でも面白いことは面白い。

 三冊とも僕が読んだのは単行本だが、どれも文庫化されているようなので、未読の方には一読をお勧めします。

 作者の馳星周という名前は、当時の香港の映画スターの名前をひっくり返したものだそうで、本名は坂東齢人、父親が日本共産党の北海道・日高地区委員長だったからか、レーニンに由来するそうです。
 最近は話題作がないようだけどどうなのかな。いい作品が書ければ
こんどこそ直木賞かもしれない。