合唱 岬洋介の帰還2021年07月31日 20時30分19秒

合唱 岬洋介の帰還
合唱 岬洋介の帰還(中山 七里 著)宝島社文庫

 昨日で難しくて気を使う仕事が一つ終わりました。とても疲れたのですが、好きなミステリーを読んでリラックスしよう。
 中山七里さんの岬洋介シリーズの最新刊「合唱 岬洋介の帰還」が文庫になっていました。単行本が2020年4月発刊だから、1年くらいで文庫化されたようだ。大歓迎です。

 さて、この僕の大好きなキャラの主人公、岬洋介は、司法試験を優秀な成績で合格し、修習生としても優秀で終了を迎えるはずだったのだが、それよりも天性のピアニストとして生きることを決意した魅力的な人物だ。探偵としての能力もあるようで、いろんな難事件を解決に導くのだが、もちろんピアニストとしてもショパンコンクールでも話題になる世界的ピアニストに成長する(ここまで岬洋介シリーズが6作)。

 で、本作はこのシリーズ7作目で、司法修習生の同期で友人でもある、新進気鋭の検事の犯した殺人を弁護するために、たくさんのコンサートをキャンセルしてまで地球の裏側から日本に帰ってくる(帰還)。
 さらには、この事件に中山さんの生んだ別の小説の、それぞれ特異なキャラを持つ主人公たちが絡んでくる。そして全員で大団円を迎える(合唱)というとてもサービスに富んだ設定です。

 現役の検事が、殺人事件の被告を取り調べている最中に被告を射殺し、検事以外の犯人はあり得ないという、ある意味の密室殺人。一見謎は解けそうもない。いったいどうなっているのかとても面白い小説となっています。

 合唱に参加するそれぞれの主人公にも興味をもって、事前にそれらの主人公が活躍するシリーズを読んでいたので、それぞれ出番は少ないのですが、彼らの活躍がよーくわかって、読了後本を閉じて彼らと別れるのが名残惜しい気になりました。

 彼らのうち、御子柴弁護士、犬養刑事の各シリーズは、最新刊が出ているようなので、文庫化されるのが待ち遠しい。もちろんこの岬洋介も早期の登場を望みます。今回は、彼のピアノは聴けなかったけれど、次は少しでも聴かせてもらいたいものだ。