ソウル・コレクター2010年02月27日 17時55分21秒

ソウル・コレクター
ソウル・コレクター
(ジェフリー・ディーヴァー著 池田真紀子訳)文芸春秋

 寝たきりの探偵リンカーン・ライムが活躍するシリーズ8作の中で僕が読んだのは、1作目の「ボーン・コレクター」と前作(7作目)の「ウォッチメイカー」で、今回の最新作「ソウル・コレクター」で3冊目である。
 頭脳は明晰であるが、事故の後遺症で体はほとんど動かすことができない元警部の主人公リンカーン・ライムが、素晴らしい相棒たちの協力を得ながら、事件を解決していく。中でも準主人公の女刑事アメリア・サックスとは、恋愛も進展させながらの絶妙のコンビとなっている。
 今回は、コンピューター社会に蓄積された膨大な個人情報を悪用する犯人との戦いだ。
 近頃のミステリーもコンピュータを抜きにしては成り立たなくなってきているような観すらもある。あの「ミレニアム」もコンピュータが主役といってもいいくらいだった。
 ライムの従兄弟が、殺人事件の犯人として捕えられるのだが、どうやら誰かが個人情報を悪用したらしい。
 犯人とライムたちのぎりぎりの情報戦が始まるのだが、例によってスタッフたちの身に危険が迫り、「ああっ!」というところで、場面が変えられる。まあ、スリルとサスペンスで面白いことは間違いないですよ。
 しかし、ミステリーとしては、やはり前作の「ウォッチメイカー」のほうができが良かったと思います。一ひねりも二ひねりも、大どんでん返しも効いていた。
 ということで、今回の作品は、昨年の「このミステリーがすごい!」では第5位、「週刊文春ミステリーベスト10」では第3位となっている。
 それにしても、ミステリーに2500円は痛いなあ。
 ライムシリーズの8作は、以下の通りですが、僕が読んだ3作以外は、あまり話題にならなかったようです。
"The Bone Collector" 『ボーン・コレクター』 (1997/1999邦訳):
"The Coffin Dancer" 『コフィン・ダンサー』(1998/2000邦訳)
"The Empty Chair"  『エンプティー・チェア 』(2000/2001邦訳)
"The Stone Monkey" 『石の猿』 (2002/2003邦訳):
"The Vanished Man" 『魔術師(イリュージョニスト)』 (2003/2004邦訳):
"The Twelfth Card" 『12番目のカード』 (2005/2006邦訳)
"The Cold Moon"   『ウォッチメイカー』(2006/2007邦訳)
"The Broken Window"   『ソウル・コレクター』(2008/2009邦訳)