悲しみのイレーヌ2016年04月29日 22時17分12秒

悲しみのイレーヌ
悲しみのイレーヌ(ピエール・ルメートル著)橘明美 訳 文春文庫
 読後感のあまりよくない本です。
 昨年の週刊文春「ミステリーベスト10」の第1位、「このミステリーがすごい!」では第2位にランキングされている(ちなみに「ミステリが読みたい!」では、発売日の関係で来年送りになったか?)人気作品ではあるのですが、僕はどうも好きになれない。
 ミステリーのトリックとしての構成が、話を混乱させるだけのあまり面白いものとは言えない、他の作品でも似たような構成の作品があり、独創性があるとは言えないもので、まあトリックとしてはそれだけといってもいいような作品だ。それに物語の終わり方があまりにも残酷だ。
 同じ作者の同じ主人公のシリーズ第二作の「その女アレックス」が、日本では先に翻訳されて、上記の三誌でベストワンにランクされているから、まあその後の活躍も知っているから慰めにはなるけれど、本当に後味の悪い作品ですよこの「悲しみのイレーヌ」は。
 娯楽としてのミステリーは、どこかスカッとしたところが欲しいですよ。