麒麟の翼2011年07月20日 23時42分08秒

麒麟の翼
麒麟の翼(東野圭吾著)講談社
 麒麟は伝説上の生き物で、鳴き声は、「ビール、ビール!」と鳴くそうな。
 これは、昔流行ったジョークだけど、本来は(?)麒麟には翼はないそうだ。日本橋にある麒麟の像には翼があって、ここから日本中へ道路が飛び立っているというイメージから、特別に翼が付けられているとか。
 物語は、この麒麟像にもたれかかるようにして男が死ぬところから始まる。東野さんの人気シリーズ加賀敬一郎刑事の捜査物語最新作だ。
 帯には、「加賀シリーズ最高傑作」と書かれていて、作者もそうだと言っている。この加賀シリーズは、「新参者」に代表されるように、警察物の中でもことさら人情を売りにしているシリーズで、別の宣伝コピーでもこの新作について、人情味がさらに深まったように言っていたように記憶している。
 実は、僕はこれに心配していた。僕の好みでは、ミステリーは、やはり、名探偵と謎解きとにある。加賀シリーズは、その条件を備えている良質のミステリーだと思っていたので、人情を強調するあまり、そこから離れていくのではないかと心配していたのだ。
 読んでみて、それはなかったので、安心した。あくまでもミステリーとして、きちんとしたものだった。
 が、シリーズ最高傑作というのは、異論があるだろうし、僕も新参者のほうができがいいと思います。話が作られ過ぎているという感じが否めないし、そうなるのかなあと納得いかない展開もある。
 けれども、斬新さはないけれど、これは、一気に読める面白いミステリーだと思います。
 シリーズの次の作あたりでは、加賀さんの剣道を活かしたアクションも見たい気がします。それに、今回ピリッと味を引き締めた、お父さんを看取った看護師さんが、再登場するのかなあ、なんて展開も期待しています。