音もなく少女は2011年07月14日 00時04分07秒

音もなく少女は
音もなく少女は(ボストン・テラン著 田口俊樹訳)文春文庫
 10年前のベストミステリー「神は銃弾」の著者ボストン・テランによる昨年のベストミステリーで、「このミステリーがすごい!」の海外物の2位、「週刊文春ミステリーベスト10」の5位、「ミステリが読みたい」の7位にランクされている。
 昨年の海外物は、ここら辺くらいまでかな、とりあえず読んでおくのは。
 で、結論から言うと、これはミステリーではないでしょうね。優れた面白い小説ではありますが、ミステリーというジャンルには入れたくないし、どうしても入れるなら、僕の好きなミステリーではないですね。
 生来の聾唖者である主人公が、母親や強い自立した女たちとともに、やくざな父親や男たちと戦いながら成長していく様を感動的に描いているのですが、謎も探偵もサスペンスもない。エンターテイメントとしては、はなはだ不十分で、そういう意味ではミステリーとしては面白くないとも言えるものです。
 「神は銃弾」に比べると、文章は余計な描写が少なくなり、読みやすくはなっているが、あまり好きな文体でもない。ミステリーとしては評価できないが、まあ聾唖者を主人公とした感動小説として、記憶には残る小説というところでしょうか。
 それにしても、近頃の海外のミステリーは、この手の小説が多くなって面白くない。もっと、謎と、素敵な探偵と、サスペンスとを望みます。

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